第19章 〜祈り〜
『あっ、ごめん、ごめん。違うって
分かってるんだけどね。どうしても
思い出しちゃって・・・』
と寂しそうに笑う栞。
『お姉ちゃん、退院したら私に似てるって言う
桜奈さんの話を聞かせくれる?
あとね、あとね、大好きな徳川家康の話も』
(徳川家康のリアルな話は、絶対聞きたい!)
とキラキラした瞳でおねだりをするように
胸で前で手を組む桜奈に、ズッキューン
(///か、かわいい〜♡///)
ちょいちょいと桜奈を手招きする栞。
キョトンとしながら、手招きされるがまま
栞の側によると、ガバッといきなり
抱きつかれた。
それから、頬で頬をスリスリされ
『もぅ、なんでこんな可愛いのぉー』と
むぎゅっと抱きしめられた。
『もう、栞、何やってんのよ、桜奈が
固まってるわよ』とクスクスする千里。
いきなり抱きつかれ、頬をスリスリされ
驚いた桜奈だったが、何故か
胸に熱い気持ちが込み上げて来る。
ただただ嬉しく、どこか懐かしいと言う感覚。
姉とは言え、生まれて初めて出会う栞。
でも、そんな違和感は最初から何一つ
感じなかった。
ずっと以前から、姉と一緒に過ごして
いたような気分にさえなる。不思議だった。
(血の繋がりがある姉妹だから
こんなふうに感じるのかな?不思議だー)
桜奈も嬉しくなり
『お姉ちゃん!』とクスクスしながら
栞に抱きつき甘えた。
それは千里も感じていた。
『不思議よねー、生まれてから初めて会うのに
違和感なく、仲良し姉妹に見えるわね。』