第19章 〜祈り〜
『えっ?お父さんもお母さんも私を助けて
くれたのが先生だって知ってたんだ・・
知らなかった・・前に聞いた時は
分からないって言ってたのに・・・
だからてっきり本当に何処の誰かも
分かんないのかと思って
それ以上聞いたことなかったな・・・』
『まぁ、そうだろうな?』
『えっ?なんでですか?助けてくれた人が
どんな人か私は気になってたのに・・
知ってるなら、話てくれてもよかったのに』
(そしたら、こんなに片想いをひきずらないで
さっさと、終われてたかも知れないのにな・・)
『あの後、海水を飲み込んだせいで
肺炎で暫く入院したんだろ?』
『うーん、そうだったかな?あんまり
よく覚えてないんですよね・・・目が覚めたら
病院のベッドの上で・・・』
真剣な顔をして、当時を思い出そうとする
詩織だったが
『ご両親からそう聞いた。
あまりよくない状態が続いてて
助けて頂いたお礼の挨拶が遅くなって
しまったと言っていた。
だから、余計に教えなかったんだろ?
死ぬほど怖い目にあった挙句
何日も熱が下がらない苦しい記憶を
わざわざ思い出させたくなかったん
じゃないか?』
(そう言うことだったの?)