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また、恋してくれますか。

第19章 〜祈り〜


『さぁ、俺にも正直分からん。
強いて言えば、あんな事を俺に向かって
言う奴が、面白かったからかもな。』

(おも、面白い?はっー?何それ?
意味わかんない。)
ただの気まぐれで、声をかけられて
こんな状況になっているのかよと
思ったら無性にイライラが募る詩織。

『私、面白くなんてありませんよ!!』
そう言ってキッと一瞬、睨むとすぐに
プイッと、窓の外に目をやる詩織。

そんな詩織のピリピリした空気など
意に介さない信長は『で、どっちだ?』
と詩織に尋ねた。

『何がですか!?』

『お前の家に決まってるだろ?』

イライラして、自分がなぜ車に乗せられたのか
忘れかけていた詩織は、あっそうだったと
思い『次の信号を右に曲がって、後は真っ直ぐ
1キロ弱進めばすぐです。』

『案外、近いんだな・・・』

『そうです。歩いて10分くらいですから
送ってもらわなくても
歩いてもすぐだったんです。』
(送ってもらっておいて、何でこんな感じ悪い
言い方しかできないんだろ、最低だな私・・・)

素直になれない自分に呆れて俯くと
目に飛び込んでくる、汚れたTシャツ。
最悪の再会の挙句、今また、みっともない姿を
晒している自分がどんどん惨めになっていく。

ついこの前まで、恋い焦がれ自分にとっての
命の恩人でヒーローでもある人と
少女漫画のような劇的な再会を
どこかで期待していたのだろうか・・?
たぶん、期待していたのだ。

それが現実はどうだ。
どうして私は、こんな惨めな思いで
隣に座ってるんだろう。
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