第19章 〜祈り〜
詩織は、炭酸を飲みながら視線だけ
声がした方に向けると、信長が詩織を
見下ろしていた。
ペットボトルを口にくわえ、顔を上げたまま
ギョッとしたように目を見開き固まる詩織。
だが、その間もコーラは口の中に
どんどん流れ込んできていた。
とうとう、口の中で飽和状態になった
コーラは、逃げ場を求めるように
詩織の口から、勢いよく飛び出した。
『ぶふぁっ、ゲホ、ゲホっ』
むせ返り、着ていた白いTシャツに
コーラが染みていく。
ショートパンツから出た太ももにも
ダラダラと溢れた。
ハンカチを差し出しながら
『面白い、コーラ芸だな』
と、ニヤッとする信長。
(///かぁ〜///)
醜態を晒し、恥ずかしさでいっぱいに
なる詩織は、差し出されたハンカチは
無視し、自分のハンドタオルで
コーラを拭い
きっと信長を睨むと
『なんですか、いきなり?何か私に
御用でも?あるわけないと思いますけど』
ムッとしなが、憎まれ口を叩く。
もう、二度と会いたいなんて思わなくて済む!
そんな、失礼な言葉吐き捨て、恋い焦がれた
再会を台無しにしたのは、つい先日のこと。
今更、合わす顔などあるはずもない詩織は
一刻もは早く、その場を立ち去ろうと
すくっと立ち上がり
『今度こそ、二度とお会いすることは
ないと思います。失礼します』と
ペコッとお辞儀し、荷物を手にしようした。