第19章 〜祈り〜
そんな、やりとりをしながら歩く二人は
傍目から見たら、恋人同士がじゃれ合って
いるようにしか見えない。
お互いに気持ちを悟られまいとしながら
けれど、溢れてしまう相手への想い。
(桜奈ってば、あんなに楽しそうに
しちゃってぇ。
徳永さんも楽しそうだよなー・・やっぱり
桜奈のこと、好きなんじゃ?でもなー)
と、思いながら二人を眺めていたのは
お使いを頼まれて、駅前のスーパーに
買い物に来ていた詩織。
目の前をじゃれ合いながら、家康と桜奈が
歩いていくのを見かけた。
買い物を終えて丁度、スーパーを出るところ
だった詩織は、一緒に帰ろうと思い
二人を追いかけた。
声をかけようとした瞬間、目にしたのは
転びそうな桜奈を家康が抱きとめ
そのまま抱きしめたところだった。
『///あらまっ!こんな往来で大胆ね///』
と気づかれないように咄嗟に身を翻し
他人の振りをする詩織。
(今のは・・!やっぱり、徳永さんも
桜奈のことが好きなんだ。絶対そうだ!!
なんてこった、両想いじゃん。
くぅっ〜、桜奈やるじゃん!!)
自分が家康に感じていた、まんざらでもない
の観察と考察は、正しかったと心で
ガッツポーズし、ほくそ笑む詩織だったが
すぐにそれは、桜奈にとっては
喜ぶどころか、尚更、辛いことだと悟った。