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また、恋してくれますか。

第19章 〜祈り〜


ぎゅっと抱きしめられたことに(//えっ?//)
と戸惑う桜奈は

『い、家康さん?もう、大丈夫ですよ・・
ありがとうございます。』とドクドクと
うるさく鳴る自分の心臓の音が
家康にも聞こえないかと冷や冷やした。
だが、抱きしめられて桜奈は気づいた。

(家康さんもドキドキしてる・・・?)
家康の鼓動も自分と同じくらい早かったのだ。

大丈夫だからと言われ『うん・・・』と
言ったが、なかなか桜奈を離せなかった。

片腕で、桜奈を支えるように
抱きしめたまま、家康が見せる切なく甘い表情。
(桜奈・・・)

時間にすれば、ほんの数秒間の出来事。
けれど桜奈には
一瞬の中の永遠に感じられた。

ずっとこのままでいられたら
どれほど幸せだろう・・そう思った。

それからすぐに『相変わらずの、鈍臭さだね』と
呆れたように言いながら、何事も無かったように
パッと桜奈から身体を離した家康は

『やっぱ、歩行介助必要じゃん』と
手を出した。

けれど桜奈は家康の掌を
タッチでもするかのようにパシッと叩くと

また、馬鹿にしてと言いたげに
口を尖らせ、睨むような上目遣いで
『必要ないですぅー!』
と言い返し、プイッとそっぽを向きながら
スタスタと歩き出した。
(また、手なんて繋いだら、私が離したく
なくなっちゃう・・サラッと手なんて
伸ばさないで欲しいな・・ほんと///)

繋げなかった手に寂しさを感じながら
本当は手を繋ぎたかった気持ちを
振り払うかのように、そう自分にいい聞かせた。
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