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また、恋してくれますか。

第19章 〜祈り〜


一方、家康が帰ったあと、寛ぎながら
家康の言葉を思い出していたい。

負けず嫌いで、ゲームでもスポーツでも
負ける度に、全身で悔しさを滲ませて
挑んできていた弟がいつの間にか
大人になっていた。

家康が小夏と結婚すると言い出した時
高校生だった。まだまだ、子供だと思っていた。

罪悪感に苛まれての一時の気の迷い
新しい環境、新しい出会いがあれば
その場の感情に流され、決断した若気の至りだと
後悔するかも知れない。
そうなれば、小夏を二重に傷つけ
家康自身の罪悪感は増すことになる。

そう思った信長は、最後まで反対した。
家康にしてみれば、子供扱いする信長は
自分が勝てたこのない子供の頃の悔しさを
思い出させる。いつも上から目線で
圧倒する超えることのできない存在。

信長に対するコンプレックスが家康の
中にはあったのだ。

それが分かっていた信長は
自分が反対すればするほど、返って
ムキになって、自分を曲げず小夏との
結婚を言い張ったのかも知れないとも
どこかで思っていた。

だが、違った。

家康は、本気なのだと悟った。
ほとぼりが冷めれば、自分の早計さを悔いる
かも知れないと思っていたが、しかし
それらも全て承知の上で、それでも貫く覚悟の
『本気』だったことを改めて知ることになった。

(あいつ、いつの間にそんなに成長したんだ?
まぁ、葛藤はまだまだあるようだが、覚悟は
揺るがなかったな・・・)
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