第19章 〜祈り〜
『別に、そんなことなんて思ってないよ
ただ、どうしてるのかなと思っただけだよ。
小夏の中にいるのは
今も光秀さんだけだから。』
(小夏が一緒にいたいのが、誰かなんて
わかり切ってるよ)
『お前は、どうなんだ?お前の中に
いるのも、小夏じゃないんだろ?』
と、核心を突かれ(やっぱり、きたか)と
思う家康だったが
『俺の事は、いいんだよ。
小夏が幸せになる事が、最優先だから。』
『幸せねぇ・・・』冷めたように
呟きながら、書類を書き終えた信長に
『そうだよ。お見合いでも、政略結婚でも
夫婦になってから、お互いに愛情を深める
パターンだってあるだろ?小夏とは
そうなって行ければいいんだよ。』と
言い張る家康に
『そうか?逆に、想い人が
いるまま忘れられず、お互いが不幸に
なるケースもあるだろ?
お前がそうならないとどうしていい切れる?
小夏は、結婚など望まないと言ったのを
お前が、結婚すると言い張っての婚約だ。
もし、お前に好きな奴がいて、忘れられないまま
結婚でもしようものなら、それは小夏に対する
侮辱で、屈辱を与える行為だ。
それがお前が小夏に与える幸せと言うことか?
それに、今ならまだ引き返せるはずだが?』
(自己犠牲にまだ酔い続ける気か?)