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また、恋してくれますか。

第19章 〜祈り〜


『そうよ。あの子奥手だから
今まで、好きな子の話なんて聞いた
こと無かったんだもの。でも家康君が
きてから、鷹介さんも見てたでしょ?
あの子の百面相』

『で、でも、家康君には決まった人
いるだろう!』

『そうね。だから黙って見てただけよ。
もちろん、桜奈が言ってくることも
なかったし、相談されることもなかったから
黙って見守ってたわよ・・・桜奈も
たぶん、家康君の事情知ってるんじゃ
ないかしら?だから想いは口にしない
のだと思うわ』

『そうかぁ、それでさっきあんなに
泣いたのか・・・』切ない表情の鷹介。

鷹介も千里も家康を預かる時に
家康の両親から事情は聞いて知っていた。

まだ、高校生だった家康が自責の念に
かられて、決断した婚約だろうと。
周りの大人達も、小夏と同様に
それで、家康の気持ちが軽くなるならと
見守られる中での婚約だった。

それくらい、責任感の強い優しい子
なのだと鷹介も千里も思っていた。
だからこそ、桜奈の気持ちが
報われることもないのだと分かり
親としとては、複雑な思いがした。

『初恋は、叶わないって言うものねぇ』

『えっ?僕は叶ったけどなぁ。
千里は違ったの?』

『鷹介さんの、初恋の相手、私だったっけ?』

『うん、そうだけど』

『それは、嬉しいわ』と微笑む千里。

『千里は、違うの?』と尚も食い下がる鷹介に

『さぁ、どうだったかしら?大昔過ぎて
忘れちゃったなぁ』とニコニコしながら
遠くを見る千里に、なんだかなぁと言う
顔の鷹介は、気になりながらも
ソファに戻った行った。

そんな、二人の楽しそうな気配だけを
スマホを見ながらも感じとっていた家康は
仲睦まじい鷹介と千里が羨ましいと思った。
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