第19章 〜祈り〜
どうにもならないことは、嫌と言うほど
分かっているからこそ、どうにもならない
運命だったのだと、仕方なかったのだと
自分を納得させらる理由が欲しかったの
かも知れない。
そうでなければ、家康が居なくなった後の
ことを思うだけで、今は、癒えそうにもない
胸の苦しさで息の仕方さえ
分からなくなりそうな桜奈だった。
テーブルを拭いていたが、あれこれと
考えている桜奈の手は
いつの間にか止まっていた。
『桜奈?どうしたのぼっーとして。
洗い物は、ママがするからお風呂を
お願いしていい?』と、千里に声をかけられ
ハッと我に返ると
『了解!』と言って、サッとテーブルを
拭き終え、お風呂場に向かった。
桜奈の元気がなくなったのは
誰の目にも分かった。
飲み物を取りに立った鷹介は千里に
『桜奈元気ないな。やっぱり
寂しいんだろうな・・・』と呟いた。
『そうね・・・私達だって寂しいと
思うんだもの。家康君に懐いてた
桜奈は、もっとそう感じてる
のだと思う。』
『だよな・・・』
『初恋だもの、そりゃ切ないわよ』
(あっ!まずい!!)
『だよな・・初恋だしな・・?初恋!?
はっ?初恋ーーー!!!』と、驚く鷹介。
ソファに座って、スマホを見ていた家康も
鷹介の声に振り向いた。
家康と目が合った千里は、ニッコリすると
なんでもないわと言う顔をし
『鷹介さん、しー!!声が大きいわよ』
『初恋って、桜奈が、家康君を
好きだってことか!?』とヒソヒソとした
声で話す鷹介。