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また、恋してくれますか。

第19章 〜祈り〜


やっと落ち着き始めた桜奈は
コクッと頷き

『じゃ、頑張って踊りますね』と涙目のまま
ふわりと優しい笑みをみせた。

桜奈の舞は、確かに地元では評判だった。
愛らしい顔立ちが舞を踊って
いる時は、美しい所作とともに
大人びた真剣な表情と姿は神々しく
さえ映る。神秘的な空気が漂い
心が洗われるようだと評してくれる
人もいるほどだった。

『もう、毎年の事だけど、しっかり練習
しとかないとね。まぁ、栞よりは
桜奈の方が上手だけどね』と
苦笑いする千里。

場の空気が少しずついつも通りに
戻って行く。

桜奈の巫女姿を見られるのは
貴重だなと思う家康。

家康に見られるのは恥ずかしいけれど
祈りを込めて舞を踊ろうと決意する
桜奈。

何より一緒に過ごせる期限が
切られてしまった今
どうにもならないことを嘆くより
好きな人と過ごせる時間を大切に
過ごしたい。

家康も桜奈もそう気持ちを
切り替えようとしていた。

夕飯を終え、片付けを手伝いながら家康は
千里に

『おばさん、俺、明日は夕飯いらないです。
兄貴に書類を書いてもらう約束してるんで
そのまま夕飯も済ませてきます』
忘れないうちにそう伝えた。

『あら、そうなの、分かったわ。
先生に宜しくお伝え下さいね。
栞の事では、本当にお世話になったから
来週、早々には退院できるって
仰って頂いたし、ホッとしたわ。』
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