第18章 〜輪廻〜
家康が、シャワーから出て部屋に
戻ろうとすると、バイトにでかようと
している桜奈と鉢合わせた。
『家康さん、おはようございます。
体調大丈夫ですか?』
『うん、もう平気。そっちは?』
『私も、お陰様ですっかり良くなりました!
これから、バイトに行ってきます』と
ニッコリする桜奈に
『まぁ、あんまり無理しないようにね!』と
ボソッと言うと、『はい。』と嬉しそうに
満面の笑みで答えた。
(///朝から、そんな顔見せられたら・・///)
素っ気なく、クルッと向きを変え
『行ってらっしゃい』と言った
家康の目元は赤くなっていた。
『はい、行ってきまーす』と元気に答え
家を出る桜奈。
お互いがお互いの弱った姿に触れ
労り合い、気遣いあった。
お互いを身近に感じる感覚は
より一層強くなり、相手を知るいい機会に
なっていたのだった。
それとは、裏腹に家康は部屋探しを
急ごうと思ってもいた。
栞に部屋を返すと言う名目なら
ゆっくり部屋を探せばいいと
言ってくれる、鷹介や千里を不安に
させずに済むと思った。
親近感が増せばます程
離れ難くなるのは目に見えていた。
(何軒か、内見の予約は入れたし
今日、決めて、来週早々には引っ越し
できるようにしておこう!
おじさんも、夕飯には間に合うなら
今日話せばいいか・・・)
もうすぐ、一緒にいられなくなる現実に
胸は、チクッと痛む。
そんな自分を(仕方ないんだよ・・・)と
宥める家康だった。