第18章 〜輪廻〜
祖母の話に真剣な表情で耳を傾ける詩織。
(私の正解、私の幸せ・・私は、さっきの
自分に良し!って言える?分かんない・・・)
ぐるぐると考えてみたが、自分の信長への態度が
あれで本当に良かったのか
後悔しないと言えるだろうか。
そんな、今にも頭を抱えそうな詩織を
見つめながら
『詩織の頭から、煙が出てきそうね。
いいのよ、今すぐ理解できなくても。
おばあちゃんはね、詩織に自分を大事に
生きて行って欲しいだけ。自分を大事に
できる人は、きっと人のことも大事にできる。
自分を大事にしてるかのセンサーが
今の自分を好きと言えるかどうかって
ことだから、それだけ頭の片隅に
置いといてくれれば、それでいいのよ』と
微笑んだ。
祖母の話は、正直に言うと詩織ピンとは
来なかった。
今の自分を好きかと言う問いにすら
はっきりとは答えられそうにはない。
分かっていたはずなのに、信長が
自分の理想とかけ離れた人だったと言う
現実は、長い片想いを逆ギレで終わらせて
しまったことより、地味にショックだった。
自分が憧れ、恋い焦がれた人と容姿が
瓜二つの別人に会ったのだと言われた
方がまだ納得できる気分だった。
(所詮、エア彼は、エア彼だったんだよね・・・
勝手に、理想像を押しつけて、挙げ句
逆ギレとか・・
でも、まぁ、会ってお礼を言いたのは本当だし
それも叶ったし、けじめはついた。
もう会うこともない・・うん、これでいい。
埃を被った私の片想い、本日で終了!!)
そう、自分に言い聞かせた。