第18章 〜輪廻〜
『PTSD(心的外傷後ストレス障害)は
強烈なショック体験や強い精神的ストレスが
心の傷になって、時間が経っても
その時の経験に対して強い恐怖を
感じる状態が続いてしまうことを言うんだ。
それが元で、日常生活に支障をきたす
人もいるからね。
君は、大丈夫だったんだな』
『お陰様で。ストレスにはなってないですが
先生の顔だけは、よくチラついてましたけど。』
『良かったじゃないか。チラつく相手が
こんな、いい男なら不服はなかろう?』
とふっと笑う信長を
ぷっと笑い『自分でいいますか!なかなかの
自信家なんですね、先生』と詩織はクスクスと
笑った。(凄い、自信家だわ。それで俺様ね
なるほど・・・)
『まぁな。実際、女には困ってない。
だから、高校生に手を出すほど、暇でもない。
7年も律儀に想ってくれてたなら、悪いと
思ってな。もしそうなら、それは一種の吊り橋
効果で、勘違いだから、早めに目を覚ます
ことだな。』
(えっ?何。もしかして、私の気持ち
見透かされて、牽制されてる?)
『吊り橋効果ってなんのことですか?』
何かで、読んだか聞いた事があった
気はしたが、正確な知識としては
分からない詩織は、情報収集のつもりで
聞いてみようと思った。
『簡単なことだよ。人間は、恐怖や緊張感感で
心拍数が上がってる時にその場に異性がいれば
その異性に対して、いわゆるドキドキしてると
勘違いして、恋愛感情だと誤認する事が
あるって話。君のもきっとそうだろ』
淡々と語る信長に、だんだん腹が
立ってくる詩織。