第18章 〜輪廻〜
『あっ、はい。今日は祖母の検査の
付き添いできました。先生のことは
くる途中に、幼馴染みから偶然
聞かされたばかりです。』
と、緊張で信長を直視できず
伏し目がちに答える詩織。
『その、幼馴染みの子にもさっき会ったよ
君が、凄く俺に会いたがってるって聞いた。
でも、俺に会いたかったと言うわりに
俺を探すつもりはなかったみたいだね。
今日は、顔だけ確認して帰ればいいかの
程度だったわけか・・・』
と、流す様な視線で、ニヤっとしながら
詩織を見る信長。
ギクッ!!
まるでここまで来る途中の心を全て
見透かされたような気分になる詩織。
(桜奈ってば、何を馬鹿正直に
ぶちまけて、置き土産してくれてんのよー!)
内心で、桜奈に文句を言いつつ
『あっ、いや、そう言うわじゃないですよ。
助けて頂いた時、名前も何処の誰かも
分からないままで、まさかこんなに
近くにいるとは思ってなくて、半信半疑って
言うか、心の準備ができてないって言うか・・』
タジタジになりながら、目を泳がせながら
必死に取り繕った。
『へぇ、ただお礼を言いたかっただけなのに
俺に会うのに、そんなに心の準備が必要だったの』
また、ギクッとする詩織。
『あー、そう言う意味では・・・』
視線だけ、明後日の方向に泳がせながら
平静を装いながら
(なんなの?この人!
洞察力が半端ないんですけどー。
下手したら、片想いしてたことまで
見透かされかねないよ、気を付けねば!)
と思っていた。
『まぁ、いい。せっかく会えたし
ちょっとお茶でもどう?
まぁ、命の恩人の頼みを断わるほど
しぃちゃんが薄情なやつではないと
見込んでの誘いだけど』
不敵な笑みを浮かべる信長。