第18章 〜輪廻〜
言葉を失ったかのように
言葉にならない音だけを発し
ひたすら驚いていた詩織に
『何故、そんな驚く?もしかして
俺の顔、覚えたのか?』
(会いたがってるとは聞いたけど
この驚きようは、俺の顔までしっかり
覚えてたのか・・・あんな状況で?)
口をパクパクさせたまま
コクッコクッと頷くのが精一杯の詩織。
(ダメだ、何がどうして、どうなってるの?
全っ然、考えられない、整理できない!!)
できれば、『ターイム!!』と言って
自分の頭の中を整理する時間が
欲しいくらいの詩織。
すると、詩織の肩にぽんと手を乗せる信長。
肩に触れられ、ビクッとする詩織に
『少し、落ち着け、ほら深呼吸して』と
促した。
促されるまま
『スー、ハー、スー、ハー』と
深呼吸した詩織は、さっきより
落ちつき
『すみません、突然でビックリし過ぎて
呼吸の仕方を忘れてたみたいです』と言って
立ち上がると
『その節は、命を救って頂き、ありがとう
ございました。私は、小野寺 詩織と言います。
やっと先生にお会いして、きちんとお礼が
言えます。本当にありがとうございました』と
深々と頭を下げる詩織。
『そんな、畏まらなくていい。
人として、当然のことをしたまでだ。
それより、君は何してたの?
わざわざ、お礼を言いにここに来たわけじゃ
ないだろ?』