第17章 〜他生〜
『あ、いや。すげぇ勘違いしてて
恥ずかしなって思ってさ』と言うと
徐に両手で顔を覆い隠す家康。
(ダメだ、ホッとしすぎてニヤつく
でも、良かった〜)
(///か、可愛い・・・)
『あっ、これは、小田先生には内緒で
お願いします。』と指を、口に当て
しーと言う仕草で口止めする桜奈。
『分かった、今日の事は聞かなかった
ことにするよ』
『そうしてくれると、助かります』と
家康に両手を合わす桜奈。
『にしても、小野寺さんって一途なんだね
凄いわー』
『それ言うなら、家康さんだって一途じゃ
ないですか、子供の頃の憧れの人と
婚約なんて、婚約者さんが羨ましいです。』
(Σはっ、私、何を言ってんの)
『えっ?(小夏が羨ましい?)』
余計な事を言ってしまったと思う桜奈。
気持ちに気付かれそうな気がして、焦りながら
『だって、好きな人におばあちゃんになるまで
一途に思ってもらうのが、私の理想だから・・』
『あー、そうだったね。恋=結婚だっけ?
でもさ、よく分かんないけど
例えば、俺がさっき勘違いしたみたいに
好きな人がいるって知らないで、相手を好きに
なったりしたら、諦めるの?
それとも奪ったりしようと思う?』
桜奈と詩織とが信長を奪い合う
構図を想像して、なんの気なしに聞いたのだが
それは、自分にも当てはまる構図だと
不意に気づいた家康は、桜奈が
どう答えるだろうと、気になった。
(なんて、答えるんだろう?)
一方、核心を突く質問にドキっとする桜奈。
それは、まさに自分自身の現状と言える問い。
でも、答えなど最初から決まっている。