第17章 〜他生〜
『私は、諦めます。誰かを傷つけてまで
自分の気持ちを通すことなんて、できないし
そんなことは、したくないから。』
と、即答した。
(だよね〜、あんたならそう言うよね)
予想通りの答えだったが、家康は
更に、深く聞いてみたくなった。
それは、自分がどう思われるかに直結する問い。
(もし、俺が想いを伝えたら、
あんたはどう思うんだろう?)
そう思いながら
『でも、もし、相手も桜奈のことが
好きで、両想いだって分かってもやっぱり
諦めるの?てか、諦められるの?』
桜奈がどう答えるのか
ドキドキしながら、答えを待った。
それは、桜奈も同じ気持ちだった。
仮定の話でありながら、現状の自分に対する
質問と言える。違うのは、自分の一方的な
片想いだと言う点だけ。
でも、もし家康が自分に好意を持って
くれたなら、質問された状況そのままにもなる。
桜奈は、家康との関係を想像しながら
あくまで仮定の話だと隠れ蓑にしながら
自分の本心を語った。
『それでも、私は諦めます。
例え相手と両想いだったとしても
相手に約束している人がいる以上
その人は、約束を果たすべきです。
もし、約束した人との間にもう
愛情がなくなっていたとしても
それは、それできちんとお互いの
気持ちを整理して、次に進むべきです。
一方的な執着を持たれたる場合も
あると思いますけど、たぶん、相手が
どうのではなく、自分が相手に対して
誠意をもって行動したと
自分自身に自信を持って言えるかが
大事なんじゃないかと。
それが、できてないのに新しい誰かに
目移りしても、きっと同じことを
繰り返す気がします。
そんな人と、例え好き同士でも
一緒にいるうちにきっと綻びが
出てくるって、私は思ってしまうので・・・』