第17章 〜他生〜
『あっ!ごめんね!桜奈。私自分の
事でいっぱいいっぱいで、ほんとごめん』
と手を合わせ謝ると
『とりあえずチラ見だけ、できたらしてくるよ。
もう大丈夫。教えてくれて、ありがとうね!
徳永さん、すみません桜奈を
お願いします』
『私も、驚かせてごめんね!
少しでも早く教えたくて、先走り過ぎた・・
また、後でゆっくり話をしようね!』
『うん!分かった。じゃ、私はここで。
桜奈も無理しないでよ!またね!』と
いつもの詩織に戻り、笑顔で病院へ向かった。
詩織がいなくなった途端、目の前が
チカチカして、くらっとした桜奈。
フラついて、よろけたところを
家康は、咄嗟に両腕を掴み
自分の胸へと引き寄せた。
『ちょっ!大丈夫かよ』と声をかけた。
背中を預け寄り掛かる形になった
桜奈だったが
『あっ、すみません。ちょっと立ちくらみが
しただけです。』と、すぐに体勢を整え
家康から離れた。
『だから、無理しないでっていったのに
あんな、力説しちゃって、なんでそんなに
兄貴と小野寺さんを会わせたいんだよ。
まぁ、とりあえず行くよ!
涼しいところで休もう。
ちなみにこれは介助だから文句は
受付ないからね』と再び桜奈の
手を引いて、丁度変わった信号を渡り始めた。
(///また、手を繋いでくれるんだ。
ほんとに、優しい人だよね・・・
優し過ぎて、困る・・・)
いつか、永遠にこの手が離されて
しまうと思うと、家康の優しさに
複雑な思いの桜奈。