第17章 〜他生〜
『病み上がりの癖に、俺を置いてくなんて
生意気。暑いから、無理するとバテるよ』
と、また変わらない憎まれ口の中に
優しさを滲ませる家康。
『そうですよ。病み上がりなんですよ私。
もっと、労って意地悪はしないで下さい。
なんなら、つめた〜いアイス奢って
くれたら、もう、全回復ですけど』
と、悪戯っぽくクスクスと笑う桜奈は
夏の日差しの中、一層輝いて見えた。
(///はい、はい、降参です///)と思う家康。
『えっ、そりゃ逆だろ?看病した俺に
感謝の気持ちで、桜奈がアイス
奢ってくれるんじゃないの?』
『えっー、私ですか?家康さん甘いの
嫌いじゃないですか?
じゃ、しょうがないですね。冷たい
アイスコーヒーでもご馳走しましょうか?
私、アイスの載ったパンケーキ食べます♪』
『何それ?桜奈がパンケーキ
食いたいだけじゃん!却下。』
『そんな〜』と、不服そうに口を尖らす
桜奈。
『パンケーキは、バイト終わりでも
食えるでしょ?ここの駅ビルに美味しい
甘味処があるんだけど、行ってみる?
クリームあんみつとかあったよ。』
『クリームあんみつ!!』さっきまで
ぶーたれていたのは、私ではありません!
と言う変わり身の早さで、両手を胸の前で
くみ、目を輝かせコクコク頷く桜奈。