第17章 〜他生〜
そんな桜奈が可愛くて仕方ない
家康は、ニヤついてしまう自分を誤魔化す為に
『あっ、ヨダレ・・・』と真顔で
桜奈の口元を指差した。
『えっ!?』と慌てて口を拭う桜奈に
『・・なんて、出てないけど。何焦ってんの?』
と、ニヤっとしながら、スタスタと
歩き出す家康。
『もぉっ!!ほんと、意地悪!!』と、
しかめっつらでキッーとする桜奈は
立ち止まり、悔しそうに足踏みした。
(また、ひっかかったー!!)
『食いしん坊の、桜奈が悪い!
ほら、置いてくよー』とクスッとしながら
振り返り見せた家康の笑顔は子供のように
無邪気で、その翡翠色の瞳は
どこまで澄んで見えた。
///ドクン///
心奪われ、立ち止まる桜奈。
(///困るな〜、そんな顔見せられたら
揶揄われても嬉しいって、思っちゃう
じゃないかー///)
頬が緩む自分を感じ、元に戻るまで
見られないように、咄嗟に俯いた。
後から、ついて来ていると思った桜奈が
なかなか追いつかないことに気付き
振り向くと、俯いたまま立ち尽くしている。
(何してんだ?あんまり日差しの中に
いさせたくないのに・・・揶揄い過ぎて
拗ねちゃった?)
可愛くて揶揄い過ぎた自覚のあった家康は
桜奈のところまで戻ると
『ほら、病み上がりさん、行くよ。
炎天下に長居したら、また具合悪くなって
病院に逆戻りだよ。
クリームあんみつ食えなくなるよ。』
と、桜奈の手を取ると
また、スタスタと歩き出す。