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また、恋してくれますか。

第16章 〜慟哭〜


家臣達が栞の捜索に向おうと
城の外に出た時は、既に雷鳴が轟き
雨が降り始めていた。

信長も馬に乗り、ワームホールの
開くと思われる場所へと向かった。

しかし、佐助の文には
ワームホールは栞を飲み込む為に開くかも知れず
栞の居場所によっては変化する可能性が強いと。

それは、栞を見つけなければ
ワームホールの開く場所も分からないと
言うことでもある。

馬を必死に走らせながら、信長は
(栞・・貴様は、わしから離れ
平気なのか?わしには、そんなことは
できぬ。わしから離れて行くなど
絶対に許さぬ!)

苛立ちと不安から、鬼の形相で
ずぶ濡れになりながら馬を走らせ続けていた。

しかし雨は、どんどん激しくなり
叩きつけられた雨が、霧状になって霞み
視界はどんどん悪くなる。

馬を走らせる信長は、懐かしい場所で
小さな栞の姿を捉えた。

そこは、信長と栞の想いが初めて通じあい
口づけを交わした思い出の場所だった。

『栞ー!!』力の限り叫ぶと信長。

気づいた栞が、ハッと振り返った。

信長がきっと迎えに来てくれると
思いながら、想い合っている二人が
引き裂かれることが、どれほど辛いか
思い出して欲しかったのだ。

もし、迎えに来てくれないなら
想いは違えたのだと、そう覚悟していた栞。

ザーッ、ピカッ!ゴロゴロゴロ・・・

(くっ!時がもうない!!)焦る信長は
一刻も早く、栞を腕の中に抱きとめたかった。

『栞ー!わしの側から離れるなど
絶対許さぬ!戻ってこい!』と必死に叫ぶ
信長は馬を下りると、栞に向かって走り
だした。
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