第16章 〜慟哭〜
栞が現代に戻る少し前
ーーーー時は戦国時代ーーーー
『父上!なにゆえにございますか!?
理由をお聞かせ下さいと申し上げております。
凛桜にも分かるように、納得の行く理由を
お聞かせ下さい!お願いでございます。』
『これは、相談などではない!貴様の
縁談の話は無かったことにすると言っている!
これは決定事項だ。これ以上議論する気も
説明する気もはない。分かったら下がれ』
と栞と凛桜に言い放つ信長。
『父上ひどいです。凛桜は、秀忠様を
お慕いしてるのを知っていらして
それなのに、どうしてそんなむごいことを
されるのですか。もう、嫌・・・私は
秀忠様のところ以外、絶対に何処にも
嫁いだり致しません!!』そう言って
キッと信長を睨むと部屋から飛び出して行く
凛桜。
流石は、信長の娘。一筋縄ではいかない
豪気を持った娘に成長していた凛桜。
娘に睨まれ、ピクッと眉を動かしてたが
『構わん!捨ておけ』と言う信長に
プツン!
栞の堪忍袋の緒が切れた音がした。
『何故ですか!信長様がこんなに
わからずやだとは、知りませんでした。
凛桜があんなにお願いしているのに
どうして、急に破談になどされたのですか?
理由も教えないで、二人の間を引き裂くなんて
凛桜があんまりに可愛そうです!』と言う栞に
『貴様は、わしの妻になって何年経つ!
わしの人となりが、まだ分からぬのか?』
と、冷めた瞳で栞を見つめた。
カチンとする栞。
『申し訳ございません。
私は、単純ですから言葉を尽くして
もらわないと信長様の意図など理解できない
至らぬ嫁ですから。
そんな嫁も、聞き分けのない娘も
信長様には不要でしょ?
信長様のお考えよーく、分かりました。
凛桜を連れて実家に、帰らせていただきます!』
そう言うと、襖をピシャーンと締め
栞は、部屋から出て行った。