第16章 〜慟哭〜
『なんで、そんなに嬉しそうなの?』
と、微かに不機嫌さを醸し出しながら
尋ねた家康に
『だって!だって!ずっと探してた
初恋の人・・・』と興奮気味に語る
桜奈の話は、鷹介にがかってきた
電話の音で中断した。
『あっ、千里からだ』と言って
電話をとった鷹介。
『もしもし、どうした?・・・うん、そうか!
ああ、本当に良かった。
分かったすぐ行くよ。うん、大丈夫
気をつけて行くから・・・じゃ、また後で』
そう言って電話を切った。
千里からの電話と言われ、会話を中断し
固唾をのんで見守っていた桜奈。
『ママ、何て?』と鷹介に尋ねると
『栞が目を覚ましたって。
良かった〜。ほっとしたよ』と
一気に脱力して、安堵する様子を見せた。
『ほんとに!良かったー!!』桜奈も
安堵し、家康も頷きながら安心した表情を
見せた。
『これから、もう一度パパも病院行って
くるから。遅くなると思うから先休んで
おきなさい』
『えっ、私も行きたい!』と言う桜奈に
『いや、桜奈も熱下がったばかりだろ?
無理して熱が上がって、長引きでもしたら
バイト先にも迷惑かかるぞ。
それに面会時間終わってるのに、大勢で
押しかけたら病院に迷惑にもなるし。
目が覚めたのを確認したらママと一緒に
帰ってくるから、今日は、風邪を治す方を
優先した方がいいと思うけどなパパは。』
と諭された。
『俺もその方がいいと思うよ』と家康も
鷹介に同意した。