第16章 〜慟哭〜
『そうなの?そんなことないと
思うけどな。家康君が生まれた時に
弟ができて嬉しい?って聞いたら
嬉しそうに頷いていっぱい一緒に遊んで
あげたいって言ってたよ。』
『ああ、確かに遊んではくれましたけど
遊んでくれたって言うか、遊ばれてたって
感じでしたけど・・・何やっても、幼い弟に
勝ちを譲る気は一切ない感じで
勝てたことなくていつも悔しい
思いしましたしね。
少しは、手加減とかしてやろうって
優しさは全くない兄でしたけど・・・』
『ほら、やっぱり、弟想いの優しいお兄さん
じゃない?だって、手加減されて勝ったって
嬉しくないでしょ?いつも真剣勝負して
くれてたってことでしょ。』と優しい
笑みを浮かべる鷹介。
『そうなんですかね・・・』と
まだ、納得いかない様子の家康だったが
(確かに、甘くはなかったし、悔しくて
勝ちたくて、なんでも必死に練習した気が
するな・・・)と思った。
『へぇ、優しいけど厳しい人なんだー。
早く会ってみたいな』と、興味深々の桜奈に
『えっ?桜奈も会ったことあるでしょ』と
鷹介。
そうだったの?と尋ねるように桜奈の
顔を見た家康だったが
桜奈は、驚いて
『えっ、私、先生に会ったことないよ。
病院には、かかったことあるけど
違う先生だったと思うし。』と
全く覚えのない桜奈。