第16章 〜慟哭〜
家康の家庭の事情は、鷹介と家康の父が
仲の良い友人であることから、以前から
知っていた千里。
栞の事情は、桜奈から
家康に話をしたと報告は受けていた。
『家康君は、栞の話は桜奈から
聞いてるのよね?』
『はい、正直、そんなことあり得るのかって
聞いた時は信じられませんでしたが、でも
おじさんの研究してるものを考えると
何ともともいい切れないんだなって
思いました』
(でも、それで現代にまた戻って来るとか
あり得るのか・・・?)未だ、半信半疑の家康。
『私も、栞がいなくなった時も、今回も
正直、信じられない気持ちでいっぱいよ。
もう、二度と会えないと思ってたから
会えて、とても嬉しい・・・でも、もし
栞が向こうで家族を作ってたら、きっと
向こうの家族は今頃、すごく心配してるはず。
そう思うとそれは、それで胸が痛むしね・・・』
千里は、17年前の自分の苦しさを
思い出していた。
『そっか、そうだよね?お姉ちゃん
たぶん、結婚してるんだもんね。
子供がいたら、お姉ちゃんも離れ離れに
なって辛いよね』と、母としての
千里の心情を汲み取った。
『そうなのよね。それに、栞を信じてない
訳じゃないけど、聞きたいことがいっぱい
あるねって、鷹介さんとも話てたとこ。
桜奈も生まれて、初めてお姉ちゃんに
会ったんだもんね・・・早く目を覚まして
元気になって貰って、それからね・・・』
と、困惑した表情をする千里だった。