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また、恋してくれますか。

第15章 〜再会〜


疾しさを反省していたのに
不意に触れられ、心配そうに見つめられる。

それなのに家康の視線は、桜奈の
唇に釘付けになってしまう。
しょうもない自分に、呆れながら
これ以上近づくと、歯止めが
効かなくなると家康の中で
警報が鳴り響いた。

それから、桜奈の肩を掴むと
くるっと向きを変え
『俺は、大丈夫だから。ほらトイレだろ?
早く行った方がいいよ』と背中を押した。

後ろを振り向きながら、不思議そうな顔で
『あっ、はい。じゃぁ』と首を傾げながら
その場を後にする桜奈。

桜奈が見えなくなると
『はっー』といいながら、しゃがみ込み
頭をわしゃわしゃと掻く家康。

(俺、もう限界かも・・・真剣に部屋探そ)

いつ、自分が自分の気持ちを桜奈に
ぶちまけてしまうか、自分でも自信が
なくなっていた。

一緒に暮らし始めて、1か月が過ぎた。

それなりに、真面目に部屋探しは
していたつもりだった。

けれど、部屋が見つかれば
それは、桜奈と一緒に過ごせる
時間も終わると言うこと。

どこかで、ずっと躊躇っている自分がいた。
一緒に過ごす時間を終わらせたくない思いが
躊躇いを生んでいることも自覚していた。

自分が情けなくなる。

このまま抑えが効かなくなり、自分の想いを
桜奈に言ってしまうようなことがあれば
真っ直ぐな性格の桜奈のこと。
婚約者がいるのに、信じられないと
きっと軽蔑するに違いない。

好きな人に、軽蔑されることほど
心の痛手はない。想像するだけで
気持ちが沈んでいくようだった。
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