第15章 〜再会〜
どんなに、小夏に対する気持と桜奈に
感じている気持は違うのだと
説明したところで何の意味があるのだろうか?
自分を助けた為に人生を狂わせ、幸せを
ぶち壊してしまった小夏に対する恩も
申し訳なさも変わらずある。
何より桜奈を好きになれば、なるほど
小夏が最愛の人に、どんな想いで
別れを告げたかと思うと
居た堪れなくなる。
そんな想いをさせてしまった自分が
無性に許せなくなる。
自分が幸せになる資格がないとは
言わない。
けれど、家康の人生に於いて
小夏が幸せになることが、最優先事項なのだ。
自分と結婚して、小夏が幸せだと思って
くれるかは、分からない。
でも、自分のできる全てで小夏に尽くして
行こうと言う決意にも何の変わりもない。
婚約を解消するつもりも、全くないのだ。
それは、自分の人としての根幹に関わること。
結局、辿りつくのは『どうしようもない・・・』
と言う答えだけなのだ。
(考えたって仕方ないんだよ。
今更なんだから・・・)
立ち上がり、気持ちを切り替える家康。
(一緒にいられる事に浮かれると
その後が、キツくなることなんて
もう分かってんのに懲りないよな、俺も。)
夏休み終わりまで・・・
当初はそのつもりでいた。
けれど、自分の気持ちを抑えていることに
限界を感じ始めた家康は、
(夏休みが終わる前にここを出て行こう)
そう、決心した。