第15章 〜再会〜
『俺だって、動画観ればお粥くらい作れるし。
今日は、1日寝てなよ。お姉さんの心配だけで
手一杯のおばさんに、桜奈の心配まで
させる気?』と家康に言われ
確かに言われた通りだと思った桜奈は
『分かりました。今日は、大人しくしてます』
と布団を目元まで手繰りよせ、口元を隠すと
不満げに口を尖らせた。
『分ればいい。喉は?渇いてない?』
そう言われると、確かに喉が乾いていた。
『喉、渇いてます』
『だよな、昨日も汗びっしょり
かいてたし・・ちょっと待ってて
水持ってくるから、あと蒸しタオル
作ってくるから、着替えた方がいいよ』
と、言うと部屋を出て行った。
家康の後ろ姿を見送り、視線を戻すと
机の上にお盆に乗せられた
風邪薬と、飲みかけの
ミネラルウォーターがあった。
(あれ?お水あるのに・・・)
そして、見ていた夢を朧げながら思いだした。
(そう言えば、誰かに口移しで水飲ませて
もらってた。喉渇いて、そんな大胆な夢
見てたの、私?恥ずかしい///)
両手を頬に当て、赤面していく桜奈。
(でも、全然嫌じゃなかった。
何か、幸せな気分だった気がする・・・)
微かに残る夢の余韻。
夢の中に、戻りたくなる自分がいた。
誰かに、愛され満たされて、幸せの中に
浸っていられるような気がした。
(あの夢の人、誰だったのかな?
夢だから、私の妄想か・・・)と
恥ずかしい気持ちを隠すように
クスっと、自分を笑った。