第15章 〜再会〜
そう思う事が、唯一自分の気持ちを宥め
かき乱されそうな気持ちを落ち着かせ
行き場のない1%がそれ以上
増えて行かないための抑止力になった。
(看病してもらったからって、現実は
何一つ変わらない。親切を勘違いしては
ダメ。)
夢心地だったさっきまでのときめきは
どこかへ消えさり、現実の時間の中に
再び組み込まれて行く桜奈。
桜奈の突きつけられた現実はただ一つ。
この人の心は、私にはない。
これまでも、これからも。
たった、それだけ。たったそれだけなのに
愛おしいければ愛おしいほど、切くなる。
微笑んでいながら、泣いているように
見える桜奈。
(でもね、知ってます家康さん?
自分の為に残った1%が、何より
苦しいんです。
私を好きになってくれないかなって
期待だから。期待したって無駄なのに。
自分が傷つくのに、止められないんです。
ばかですよねぇ・・・だから、苦しいんです。)
眠っている家康に、声にはならない
思いのたけを告白する桜奈。
面と向かっては、言えない想い。
また、家康の髪に触れようとしたが
伸ばした指先をグッと握りしめ自分を止めた。
(夢心地の、時間は終わり・・
家康さんが、目を覚ませば
いつもの現実の中だよ)
そう、自分に言い聞かせる桜奈だった。