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また、恋してくれますか。

第15章 〜再会〜


熱に浮かされ、うわ言をいいながら
何かに触れようとする様に手を伸ばし
涙を流す桜奈。

桜奈の伸ばした手を掴み
心配そうに見つめる家康。

(桜奈?どうして泣いてんの?
身体辛いのか?)

優しく撫でるように、桜奈の
涙を拭う家康。

桜奈の苦しそうな姿に
自分まで、胸が苦しくなり
抱きしめたくなる気持ちを抑えながら

手は握ったまま反対側の手を頬に添えると
愛おしさと、切なさに満ちた表情で
冷却シートの貼られた桜奈のおでこに
そっとキスをし、頭を優しく撫でた。

(早く、よくなれ・・・)

苦しそうな桜奈を看病しながら
こうして、自分が側で見守ることができるのは
もう、限られた時間しかないのだと思うと
複雑な思いに心が揺れる。

家康も桜奈に出会い
初めて『恋』とは何かを知ったのだ。
小夏に対しての想いとは
全く違うことも・・・。

恋する想いが、こんなにも甘く、切なく
胸が締め付けられるのだと言うことも
心が揺さぶられ、かき乱されてしまう
ことも知らなかった。

誰かをこんなに愛おしいと思うことも
愛しい人を誰にも渡したくない衝動も
自分だけを見つめていて欲しい願望も
全てが、初めて味わう感情だった。

身勝手だと罵倒され責められたとしても
恋い焦がれてしまう自分がいることに
自分でも驚くばかりだった。
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