第15章 〜再会〜
(全てをかなぐり捨てて・・・
そんな勇気があったら
あんたを手に入れられるのかな・・・)
そんな無謀な妄想を自分が自分で
鼻で笑う。
『ふっ、そんな勇気なんてないくせに・・・
それに、俺の単なる片想いだし・・・』
(看病を言い訳にして
今だけ側に居させて・・・)
桜奈を自分の目に焼き付ける
かのように、ずっと眺めていたかった。
けれど、疲れもあり否応なく
眠りへと誘われる。
桜奈の手を握り締めたまま
家康も眠りに落ちていった。
ーーーーーー翌朝ーーーーーー
パチッ!!
目覚ましより早く目を覚ました桜奈。
まだ、気怠さと熱っぽさはあったが
昨夜に比べたら、かなり楽になっていた。
(あれ?私、ソファーで寝てた気が・・・)
何故、ベッドにいるのか不思議だった。
身体を動かそうとすると、手に何かが
触れている感覚があった。
ふっと、視線下げるとそこには
フワフワした、柔らかな猫っ毛が
長い睫毛にかかった端正な顔立ちの
イケメンがベッドにもたれるように
して、寝息をたて眠っている。
手を握られている事も分かった。
おでこには冷却シートが貼ってある。
自分の置かれた状況から察するに
熱が出て具合が悪くなった自分を
家康がベッドまで運び、付きっきりで
看病してくれていだのだと思った。