第15章 〜再会〜
暫くして、お風呂から上がってきた家康。
リビングに戻ると、桜奈がソファで
眠っているように見えた。
(ったく、こんなとこで寝たら、ほんとに
風邪ひくのに)と、桜奈を
揺さぶり声をかけようとしたが
触れた瞬間に熱がかなり上がって
いると感じ、焦って声をかけた。
『桜奈、桜奈、大丈夫か?』
と起こしたが、汗をびっしょりかきながら
ハッーハッーと苦悶の表情を浮かべ
苦しそうに肩で息をしている。
体温計で桜奈の熱を測る家康。
『ピピッピピッ』と鳴った、体温計を
取り出すと39.4℃と表示がでた。
(かなり、熱が上がってきてる。
早く布団で寝かさないと。)
桜奈をお姫様抱っこし
部屋まで運ぶ家康。
身体がふわりと持ち上がった感覚を
朦朧とする意識の中で感じていた桜奈。
ずっと以前、こんなふうに誰かに包まれ
安らぎと幸せに満ちていた自分がいた気がした。
誰かは、分からない。
でも、この人とさえ一緒にいられたら
側にいられたら、それだけで幸せだと
思っていた自分が確かにいた。
微かにあるような、ないような意識の中で
桜奈はそう思っていた。
ベッドに寝かされた後、そっとおでこに
誰かの手が当てられた気がした。
優しくて、気持ちよくて
ずっとそうして、触れていて欲しくなる。