第15章 〜再会〜
『何、どうしたの?こんなずぶ濡れで!!
早くタオル・・』身を翻し、タオルを取りに
行こうとする千里の手をつかみ
『ママ、早く救急車!!
公園にお姉ちゃんが倒れてた!!
早く!!』と切羽詰まるように
訴える桜奈。
『えっ?誰か倒れてるの?桜奈』
『だから、お姉ちゃんが公園にいたの!
気を失ってる!早く救急車!』と
言われ、状況はのみこめなかったが
急いで、救急車に電話すると
傘と、バスタオルを数枚持って
桜奈とともに、公園にむかった。
(お姉ちゃんって、誰かしら?
桜奈がお姉ちゃんなんて呼ぶ
近所の人なんていないのに・・・)
桜奈の取り乱し方に、胸騒ぎを
覚える千里。
家康に抱きかかえられている、着物をきた
女性を目にした千里は、目の前の光景が
信じられなかったが
『栞!!』と駆け寄り、バスタオルで
身体を包むと、栞を抱きしめ、涙を流した。
その後すぐに、家康に抱えてもらい
自宅に連れ帰った。
救急車がくる間に、帯をはずし
上に着ている着物だけをそっと脱がせ
泥を拭き取っている途中で救急車の
サイレンが、自宅前で鳴り止んだ。
救急隊員が自宅に来ると
事情を、説明する家康。
千里は、とりあえず必要な物だけもつと
『桜奈、ちょっと行ってくるわ
貴方も、風邪ひくからしっかり
あったまりなさい。家康君もね
パパには、ママから連絡するから
今日は、付き添って帰れないかも
知れないから、そのつもりでいて
また、連絡入れるわ』
『うん、大丈夫だよ。お姉ちゃんに
ついててあげて』
と、栞と千里を乗せた救急車を見送った。