第15章 〜再会〜
もともと、他人なのだから遠慮があって
当然なのだが、家康は一番近くにいるのに
頼れる存在でも、甘えていい存在でもないと
口には出さないがそう拒絶された
気分だったのだ。
早く連絡をくれたら、こんなにずぶ濡れで
待たせたりしなかったのにと申し訳ない
気持ちの方が強くなっていた。
暫く、無言のまま歩く二人。
駅から自宅までは、徒歩で15分程度。
(はっ〜、家康さん、怒ってるよね。
やっぱり、連絡すれば良かったな・・・)
せっかくの初の相合傘も、ピリピリしている
家康と、ズーンと落ち込む桜奈とで
なんとも言えない空気が漂っていた。
隣を歩く桜奈のしょんぼりした顔に
声を荒げてしまったことを反省していた家康。
(はっー、さっきは
ついデカい声出してしまったけど
どう見ても凹んでるよな・・)
『あのさ、さっきはその・・
ちょっと強く言い過ぎたよ、ごめん。
手を触ったら、凄く冷たかったから
それ以上濡れたら風邪ひくって思って
デカい声出した・・悪気はなかった・・』
(そんな顔もさせるつもりなかったんだよ・・)
桜奈のしょんぼりした顔に
自分まで凹んで行きそうになる家康。
『あっ、いいえ。私が悪いんです。
ごめんなさい。
変に気を遣ったら全部、裏目にでちゃって。
心配してくれたんですよね?
ありがとうございます』と、歩きながら
ペコッと頭を下げる桜奈。
『あっ、いや。こっちこそ、ごめん。
遠慮なんてしないで早く連絡くれたら
良かったのにって思っただけ・・・
俺は、好きで図書館にいるから
時間に縛られてたわけじゃないし
時間合わせられるのにって思ってたけど
俺に、気を遣ってくれたんでしょ?』