第15章 〜再会〜
『今日は、ほんと助かったー
ありがとうね。また、お願いするかも
知れないけど、宜しくね!』
『私のバイト目的は、休憩にパンケーキが
食べられる!ですから。パンケーキ為なら
喜んで』とニッコリする桜奈。
『ああ、そうだった』と二人は顔を見合わせて
クスクスと笑った。
『じゃ、お先に失礼します』とペコッと
頭を下げる桜奈。
『うん、お疲れ様!気をつけて帰ってね』
と愛花に声をかけられた後、桜奈は
タイムカードを押すと、トレーを持って
スタッフルームを後にした。
皿とカップを洗い、他のスタッフに
挨拶し、着替えに戻った桜奈。
(家康さんにメールしといた方がいいかな?
でも、今はきっと、勉強してるよね・・・)
予定より、1時間早く仕事が終わった桜奈。
メールして、一人で先に帰る事も考えたが
自分の為に、わざわざ帰りの時間を合わせて
くれた家康の気遣いを無碍にしたくなかった。
何より、心内に仕舞い込んで
顔や態度に出ないよう、自重しているだけで
家康を想う気持ちは、全く変わってなど
いなかった。
一緒に帰れる。ほんの些細なことも
いずれ、それすら叶わなくなるのだと
思うと、大切な時間だと思えて仕方なかった。
(スマホを眺めてたら、1時間なんてあっと
言う間だよね。駅のコンビニでコーヒー
買って飲みながら待ってよーっと)と
家康を駅で待つ事にした。