第14章 〜告白〜
表情が曇って行く桜奈を
横目でみながら、自分が本当は
何をしたのか、ずっと気になっていた家康。
抱きしめてしまっていたのは、目が覚めて
すぐに分かっていたが
それ以外にもキスしてしまったかも
知れないと言う疑念はあったが
そこは、曖昧なままだった。
涙目で、悔しそうな顔をして
自分を睨んでいる桜奈の顔が
焼きついたままだった。
ケーキで釣って、気持ちを宥めようと
したものの、桜奈を傷つけてしまった
罪悪感は、拭えないままだった。
『あのさ、こんなこと言ったら
また、嫌な気持ちを思い出させて
しまうし、腹が立つと思うんだけどさ
あの時、俺が桜奈に何をしたのか
寝ぼけてて、よく分かってなくて・・・
でも、何をやらかしたか自覚のないままじゃ
ちゃんと謝ったことには、ならないと
思うんだよね。俺、桜奈に何したの?』
わざわざ、嫌な事を思い出させるのは
また、せっかく鎮まった怒りを再燃
させてしまうかも知れないと思った。
でも、桜奈との間に禍根を
残したくない気持ちが強かった。
大人しく、親戚のお兄ちゃんのような
振る舞いで、残りの同居生活を
何事もなく過ごすのが、お互いの為には
いいはずだと思えたからだ。
だから、ちゃんと謝りたいと家康は
そう思った。