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また、恋してくれますか。

第14章 〜告白〜


『だって、その靴履き慣れてないヤツでしょ?
だから、来る前によろけたようにみえたから
歩行介助したんだけど・・・クスッ
でも、今はもう大丈夫そう。靴擦れなとかは
してない?』と、尋ねてきた。

(こんなとってつけた理由、笑える。
でも、もういいや・・・俺がどんなふうに
見られているのかも分かったしね・・・)

家を出る前は、自分の思いのままにと
思っていた家康だったが、自分がどんなふうに
桜奈に思われているかが分かり
何を期待していたのかと、自分が
滑稽にみえてきた。ただの自己満足で
しかないと突きつけられた気分だった。

桜奈も、手を繋いできた理由に納得した。
(ああ、そう言うことか。確かに
履き慣れない靴だったけど・・・
気づいてくれてたんだ。)
無意識に、少しでも可愛いと思われたくて
選んだ靴だった。
それが、歩きにくそうに見えていただけで
手を繋いだことに、他意はなかった
んだと思うと、何かを期待するような
気持ちだった自分が恥ずかしく思えてきた。

『はい。もう大丈夫です。だいぶ慣れて
きましたから。痛くもないし、平気です。
介助なしでも、歩けます!』と
気合いを入れるように、両手で小さく
ガッツポーズしながら
『ってか、おばあちゃんじゃないし
もともと、歩けましたけどね!
家康さんより、若いですから私!』
ニッコリする桜奈。

それぞれの想いに引き寄せられるように
近づいた心の距離は、潮が引くように
また、離れていったのだった。
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