第14章 〜告白〜
お互いにした家族の話は、相手を
もっと知りたいという欲求を少なからず
満たした。
相手を知りたいのは、相手にもっと
近づきたいから。心の距離を縮めたいから。
皮肉にも家康と桜奈の心の距離は
ぐっと縮まり前よりも、もっと相手を身近に
感じてしまう結果となった。
しかし、それは今以上に現実の厳しさを
目の当たりにする苦しさを伴う。
二人の距離が縮まるほど、叶わない恋なのだと
言う失望を前にも増して味合わうことに
なるからだ。
恋しい人のことを想うだけで
もっと顔がみたいと思い
もっと話たいと思い
もっと相手を知りたくなり
もっと一緒にいたいと思う。
まして、手の届く距離に恋しい人がいれば
もっと触れたくなる。
自分だけのものにしたいと思う。
自分だけを見て欲しいと思ってしまう。
そんな、当たり前で自然と湧き起こる
気持ちをずっと塞き止めているのは難しい。
気づかぬうちに想いは、何気ない言葉で
眼差しで仕草で相手へ向かって
溢れ出てしまう。
家康に、不意に触れられた桜奈は
疑問に思っていた。
(今日の、家康さんはなんか変。
そりゃ、目を合わせられなかった時とか
アクシデントで接触はあったけどさ・・・
頭を撫でたり、手を繋いだり、さっきだって・・
男の人は、これが普通なのかな?・・・
でも、岩田君は、そんなことしないし。
男友達と手を繋いで歩いたりしないよね?
家康さんは、家庭教師で、同居人で
友達ですらないのに?なのに、なんで・・)