第14章 〜告白〜
苦虫を噛み潰したような表情で
兄の愚痴を零す家康が、何故か可愛く思えて
仕方ない桜奈は、クスクスとすると
『ほんと、お兄さんと仲がいいんですね』
と言ったが
『はっ?今の話、ちゃんと聞いてた?
ムカつくって言ってんのに、どうとれば
仲良いいになるの?』と、呆れる家康に
『うーん、そうですねー
例えば、なんの違和感もなく兄と呼んで
なんの躊躇いもなく悪口を言えちゃうとことか
ですかね?』とニッコリした。
『何それ?』と言いながら、鋭いところを
つかれた気分の家康。
素直には出せない、自分の心内を理解して
もらえた気がして、嬉しくもあり照れくさい
気持ちだった。
『全然、仲良くなんてないよ!
優しくて、頼りがいのある兄貴なら
俺は桜奈の家に下宿なんて
してないし・・・
もし、兄貴のマンションで世話になったら
絶対、顎で使われるし
小間使いのパシリ決定だからね。
そんなのはゴメンだから、やめたし・・』
照れ隠しのように、尚も兄の批判を
続ける家康。
桜奈ですら思う、時々見え隠れする
家康の〈分かりやすさ〉に桜奈は
貴重な瞬間でも見ているかのように
はいはいと言わんばかりに
ただ、ニコニコとしながら微笑ましい
気持ちで家康の話を聞いていた。
そんな桜奈の態度に
『あーっ、何、はいはいそうですねーとか
思ってそうな態度』と桜奈に
見透かされた気分の家康は、反撃に出た。