第14章 〜告白〜
名前の由来に気を取られ過ぎて
深くは考えていなかった桜奈。
『あの、なんか混乱してきました。
従兄弟だけど、お兄さんってどう言う
ことですか?私にも従兄弟のお兄ちゃんは
いますけど、幾ら仲良くても
確かに兄とは紹介はしないですね
やっぱり・・・』
『やっと、そのことに疑問、持った?』と
クスッとする家康。
『でも話すと長いんだよねー。聞く?』
『えっ、あ、はい。私が聴いても
大丈夫なお話なら、聞きたいです。』
(あ、やっぱり何か事情があるんだ・・・)
『あー、でも説明が面倒だから、やっぱ
やめていい?』勿体ぶるように揶揄う家康に
『えっ、そこまで言われたら
余計に気になるじゃないですか!
あっ、でも事情があって話しにくいなら
大丈夫ですよ。私もお姉ちゃんの事情
説明するの厄介だなって正直思いましたから。
それぞれ、事情はありますもんね』
と、苦笑いする桜奈。
『あっ、そうだった、俺も桜奈の
お姉さんの事情を教えてもらったね。
じゃ、俺もちゃんと説明しないと』
と、家康は、家庭の事情を話し始めた。
『兄の父親は小田総合病院の
一人息子だったんだ。
跡取りだし、医師としても
次期経営者としても、凄い忙しい人で
兄が生まれてからも、なかなか
一緒に過ごす時間も取れなかったらしい。
でも、子煩悩な人だったから
少しでも時間が取れれば、家族で
出かけたりしてたんだって。
それで兄が3歳になった夏、家族3人で
海水浴にいった帰りに事故に巻き込まれて
伯父と伯母は、その事故で亡くなって
兄だけが奇跡的に助かった。
俺が生まれる前の話だけどね。
母からは、そう聞いた。』
『えっ!』と驚き、片手で口を覆う桜奈。