第14章 〜告白〜
栞のような奇跡の恋に
幼い頃から憧れていた桜奈にとって
運命の人と巡り合い恋に落ちて結婚する。
白馬の王子様的な幼稚な恋愛観だと言われても
ずっと夢みてきた。
一生に一度、唯一のただ一人の人とだけ
恋したい。ただそう思ってきただけだった。
現実は、婚約者のいる、自分の思いが届くことも
通じ合う可能性も全くない相手に
いとも簡単に恋してしまった自分。
そうなった上に、何一つままならない
気持ちに掻き乱される自分が
浅はかで意志の弱い
人間のように思えてくる桜奈。
一方で、ケーキを選ぶ桜奈を目で追う
家康には、桜奈が心なしかさっきより
元気がなくなったように見えていた。
(どうしたんだろ?さっきの事で
恥ずかしくて、落ち込んでるのか?
はっー、ってか、俺も何で
さっき照れたんだろ・・アホだろ。
俺に言ったわけじゃないのに・・・)
今度は、羞恥の気持ちに頭を抱えそうになる
家康。
告白されてるような気分になったのは
事実だった。家康が大好き・・・きっと
この先、自分に言われることも
決して聞くことのできない言葉だと思っていた。
図らずも徳川家康と同じ名前だったから聞けた
単なる、棚ぼたボイスだ。
そんな、自分に向けられたわけでもない
言葉にまで反応してしまうほど、桜奈を
好きになっている自分をただ自覚する
羽目になってしまった。
(やっぱ、キツいなー)
『はっー』と深いため息しか出ない家康だった。