第13章 〜真実〜
『行方不明になった時に、卒業旅行で京都に
行ってたらしいんです。お友達に会いに。
4月からは、デザイナーとして就職も
決まってたらしいし、行方不明になった
次の日も、会いに行ったお友達に観光案内して
もらう約束もしてたのに、家出する理由も
なくて・・・。
事件や事故に巻き込まれた可能性も
ないわけじゃなかったんですが
それから3ヶ月後くらいに
お姉ちゃんの荷物が落とし物として
見つかったらしいんです。
捜索願いは出してなかったから
落とし物って言うか、忘れ物扱いで
連絡が来たらしいです。
パパが荷物を引き取りにいって
お姉ちゃんのバッグ中を確認したら
時を超えて戦国時代にきてしまったけど
その時代で暮らすうちに、好きな人と巡り合って
しまったって。
その人とその時代で生きて行きたいから
帰らない決心をしたんだって。
デザイナーにはなれなかったけど、お針子の
仕事をして毎日、楽しく幸せにくらしてるから
心配しないで欲しいって内容の
自筆の手紙が入ってたそうです。
お針子の仕事をしてるのを証明するみたいに
パパとママに当ててお姉ちゃんが仕立てた
着物が風呂敷に包まれて、バッグに
括り付けてあったらしいです。』
そう話すと、顔色を窺うように
家康を見つめる桜奈。
驚いたまま、手で口を覆う家康は
信じがたい話に混乱していた。