第13章 〜真実〜
本を胸に抱えたまま、ベッドに仰向けに
倒れ込んだ。
腕を伸ばし、掲げるようにしながら
本を眺めたが
(悲恋だもんね。きっと悲しくなるな。
自分と重ねたら凹むから今日は
読むのやめとこう。明日に響いたら
困るし・・・明日・・二人で出かけるんだ・・)
そう思った途端、///かぁっー///と顔が
火照り出した。
本を胸に抱え直し、(どうしよう!?
何着て行こう!何を話す?ケーキにあんまり
がっついたら引かれる?)ベッドの上で
左右にゴロンゴロンと寝返りをしながら
不安と興奮の入り混じった気持ちを
発散するかのようにジタバタする桜奈。
それでも、デートとは決して口には
できないが、気持ちは初めてのデートと
なんら変わらない。
好きな人に《可愛いと思われたい》
それは、想いが届く届かないには
関係なく女の子なら当然のこと。
家康が遠い未来に今をふと思い出した時
そう言えば、マンションのトラブルで
父の友人宅に下宿したっけ・・・
そのうちの子の家庭教師したっけ・・・
きっと、名前も顔もぼんやりしか
思い出しては貰えない。
それでも、自分にとっては
初めて好きになり、色んな気持ちを
味わい、一方通行の想いに溺れかけ
苦しく、些細なことが天にも登るほど
嬉しい特別な日々として思い出に
残るだろう。
言葉にはならないが、そんな想像を
桜奈は天井を見上ながらしていた。
(そうだよね、今をちゃんと大事に
過ごさなきゃ、きっと後悔したまま
想い出に変わってく・・・家康さんに
私の何も残らなくても、私は家康さんと
一緒にいた時間を忘れたくない・・)