第13章 〜真実〜
『夕飯できたってよ。遅いから
迎えにきてあげたの。』
と、やれやれと呆れている様子の家康。
『えっ、もうそんな時間?』と驚く桜奈は
辺りを見回し、すっかり薄暗くなっていることに
気づいた。
『さっきまで、明るかったのに暗くなってるー』
と、夢中でブランコを漕いでいた自分に
受けて、クスクスする詩織。
『じゃ、そろそろ帰ろっかね!桜奈』
『うん、付き合ってくれてありがとうね
しぃちゃん』と満面の笑みで詩織にお礼を
言う桜奈の姿に、家康はホッとしていた。
さっき部屋で見た桜奈ではなく
いつもの桜奈に戻っていたからだ。
桜奈を優しい顔で見つめる家康に
気づいた詩織。
(なんだかなー、絶対、まんざらでない気が
するんだけどね・・・婚約者いるんだもんねー
Σはっ!?惚れやすい体質?ただの女好き?
家康だけに!?・・んなわけないと思うしねー)
詩織の中では、徳川家康は、側室20人の
ただの女好き将軍のイメージに成り果てて
いたからだ。
考えごとをしながら、無意識に家康を
ガン見している詩織に
『えっ?何?俺の顔になんかついてる?』
と、ムッとしながら詩織に言う家康。
ハッとした詩織。無意識だったので
ガン見しているつもりはなかった。