第12章 〜終恋〜
他愛ない話をしながら
パンケーキ屋まで来た桜奈と光成。
『ここだよ』と桜奈は嬉しそうに
光成に言うと
『へー、ここか。毎日、通ってる道なのに
あんまり気にしたことなかったよ』と返した。
『うん、まだオープンして、そんな経ってない
からね!でも、私はもう常連さんだから
任せて!』と、悪戯っぽく笑う桜奈。
『じゃ、行こう』とお店へと入って行った。
『いらっしゃいませー、2名様でよろしかった
でしょうか?』
『はい』と頷く桜奈。
『お席にご案内致します。こちらにどうぞ』と
案内され、奥のテーブルに向かう二人。
初めて入った店を歩きながら
珍しそうに、見回した光成は
知っている顔を見つけた。
その人は、窓際の席に座り
向かい合わせに座った綺麗な人と
楽しそうに話をしていた。
(徳永さん?と女の人?・・・彼女?)
桜奈は気づかないまま
案内してくれる店員さんの後ろを
スタスタと歩いていたが
すぐ斜め後ろにいた光成が
視界の端から消えた事に気づき
『岩田君、どうしたの?』と振り返った。
桜奈の声に気づき、ハッとし
『何でもないよ』と、慌てて答え
桜奈の後ろをついて行った。
一方、家康も目の端に桜奈と光成の姿を
不意に捉えてしまった。
(桜奈?)