第12章 〜終恋〜
一通り、興味のありそうな本を見て
回ったが、今回は光成が薦めてくれた本と
家康にきな粉餅を作ると約束していた
ので、和菓子の本も借りて見ることにした。
そして、1時間して入り口付近で待って
いたが、一向に光成が来る気配がない。
しばらく、待ったが本に夢中になると
時間を忘れてしまう光成を知っている
桜奈は、光成を探しに行った。
本棚の列から、ヒョコッヒョコッと顔を出し
確認していくと、難しそうな政治学の
本棚で、光成を見つけた。
(あっ、いた!やっぱり集中し過ぎて
時間忘れてるんだ)と、クスッとし
光成の側までいって、声をかけて
光成の顔を覗き込んだ。
『岩田君、1時間過ぎたよ』と。
光成からすると、集中していた
眼前に思った以上に桜奈の顔が
近く感じ、『///うわっ///』と
珍しく驚き、咄嗟にのけぞった。
『しーっ!』と指を唇に当て
『ごめん、ごめん、驚かせちゃったね!』
と、小声になりながら困ったような顔をして
申し訳なさそうに謝る桜奈。
とっくに、約束の時間が過ぎている事に
気づいた光成は、ハッとし
『今何時?・・!!あー、ごめん。凄く
お待たせしちゃったね。
本に集中すると、周りが見えなくなる・・・
僕の悪い癖だ・・・』
と、光成も申し訳なさそうに謝った。