第12章 〜終恋〜
『あっ、ごめん、ごめん。うん、分かってる
ケーキに釣られた訳じゃなくて
俺の気持ちを、軽くしてくれる為に
付き合ってくれるんでしょ?』
さっきの気まずさは、どこへやら。
桜奈が可愛く見えて仕方ない家康。
『そ、そうですよ!どうしてもって
言うからです。』と、桜奈も
精一杯虚勢を張る。
『そうだよね!じゃ、ケーキじゃなくて
何か買い物で可愛いやつとか買ってあげる
でもいいんだよね?お詫びだから』と
ケーキの為じゃないと言い張る桜奈に
今度は、意地悪する家康。
『えっ?』と、家康を見ると
明からさまにがっかりした顔で、しゅんと俯き
『べ、別にそれでも・・いいで・すけど・・』
と、桜奈。
(ダメだ、分かり易すぎてツボる・・)と
笑いを必死に堪えるが、肩が揺れる。
『うそ、うそ、ケーキバイキングに行こう!
一番好きなもので喜んでもらった方が
俺も気が晴れるから。予約しとくよ。
ちなみに、特別好きなケーキあるの?』
行き先がケーキに戻り、さっきまで
ムッとしていた事は、忘れたように
ぱぁっと明るい顔になり
『苺のショートとザッハトルテ!』
と、即答したが、また少し考え
『あーでも、フルーツタルトも
シフォンケーキもベイクドチーズも
ガトーショコラも捨てがたいけどな
うーん、でもやっぱり、苺のショートと
ザッハトルテです。ちなみに同率1位で!』
何やら聞き慣れない、ケーキの名前を
ツラツラと話す桜奈。
『凄いね、ケーキってそんな種類あるの?』
と驚く家康。
『いえ、いえ、こんなもんじゃないですよ。
数えきれないほど種類ありますよ。』と
すっかりいつもの桜奈に戻っていた。