第12章 〜終恋〜
『へぇ、甘いものなんて、唯一好きなの
きな粉餅くらいだから、そんないっぱい
種類があるって知らなかった』と
感心する家康。
『家康さん、きな粉餅好きなんですか?
じゃ、ケーキご馳走になる代わりに
私が作ってあげますよ!』と、機嫌が
すっかり直った桜奈。
(よし!機嫌直ったみたい、ケーキ様々だな)
『えっ、いいの?桜奈のきな粉餅
食べてみたい』と、家康。
『はい、じゃ、今度作りますね』と
ニコッとした。
『ケーキバイキングは、いつ行く?
来週の土日なら、まだ夏休み前で
バイトないよね?』と、尋ねた。
『はい、土日のどっちでもいいです』
『分かった、じゃ、苺のショートと
ザッハなんとかがあるか
確認して店予約しとく。
予約取れたら知らせるよ!』
『はい。ザッハトルテ!です。
じゃ、お言葉に甘えて、楽しみにしてます』
と、桜奈の頭の中は、既にケーキ
バイキング一色になっていた。
そして、まんまと機嫌が直されている自分に
はたと気づいた桜奈。
(Σハッ、ダメだ、私ってばチョロ過ぎる〜)
ぐぬぬっと言う表情の桜奈。
気づかぬ振りをしながら
その様子を盗み見る家康。
(///分かり易すぎ、ほんと素直。///)と
愛おしいくなる。そして、その想いに自分で
気づくと、今度は切なさが押し寄せてくる。
(きっと、もうこんな機会はないよな・・・
最初で最後のデートみないなもんか・・)
そう思うとその日が待ち遠しいのに
一方で、その日がこなければいいと
思いたくなる家康。
その日を待つ楽しみの中にずっと
浸っていたい気分だった。