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また、恋してくれますか。

第10章 〜距離〜


『土曜日ね、しぃちゃんと別れてから
徳永さんに、電話がかかってきたの。
電話の相手に徳永さんは『小夏』って
言ってた。

彼女はいないって、しぃちゃんが
徳永さんから聞き出してくれたけど
好きな人がいないとは言ってなかったでしょ?
もしかしたら、徳永さんが好きな人
なのかもって思って尋ねてみたの・・・
そしたら・・・』とどんどん表情が曇り
悲しげな瞳が、少しずつ潤み始めた。

そんな、心痛な顔する桜奈を
包むような優しい声で詩織は
次の言葉がでるように後押した。

『そしたら・・・?』
それから少し覗き込むように桜奈を
見つめると

桜奈は、苦しそうな顔を
しながらニコッとし

『その電話の相手の人は婚約者さんで
徳永さんの憧れの人なんだって・・・』

『えっ!?』と言ったまま驚き、言葉が
続かない詩織。暫し、固まっていた。

そして、不意に図書館での家康の姿が
思い出された。

(えーっ、待って待って、だってあの態度は
どうみたって、岩田君に嫉妬むき出しだった
気がするけど、えーっ?婚約者いるのに
どう言うこと?憧れの人って、好きな人
だから婚約してるんだよね。親が勝手にって
感じじゃなさそうよね?)詩織は困惑していた。

婚約者がいるのに、誰かと遊んでやろうなんて
不誠実さどころか、放っておいたら彼女すら
できないんじゃないかと言う奥手な印象を
家康からは、受けていたからだ。

自分の印象と、桜奈から聞いた家康の
行動が一致せず戸惑った。
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